寝言は寝てから

荒川弘ファンのてきとうなおしゃべり。

ぎんさじ13

そして今週の銀匙。夏の3。

今週のは、胸に迫った。

荒川先生んちは3代続いた開拓農民。
でも、もう、跡継ぎがいないんだ。
先生は、弟の進路が決まるまで7年間、18から25までの若い時代、ずっと実家の手伝いをしてた。
そして、弟はあとを「継がない」という結論が出たところで、でも、最初から決めていたことだからと、家を出て上京した。
年老いた両親を置いて。
最後に残った子だったのに。

それを知ってて読むから、もう、今週のはさあ…!

廃屋の様子。ドキっとしたよ。八軒のような、お化け屋敷に対する恐怖じゃなくて。
そうだ、アキが継がなかったら、アキんちはああなる。
先生んちは、家と農地を引き取ってくれる人が表れなければ、もう十数年もしないうちに、ああなる、のかもしれない。

先生はインタビューで、農家の言葉にしない複雑な思いをネームに落とすのはとても難しい、って話してたけど。
先生は、もっと難しい、複雑な思いを、ネームにしていってる。


エゾノーの校長先生が、八軒に夢がないことを「それは良い!」って言ったのは、この学校できっと夢が見つかるよ、みたいなよくある話じゃなくて。
夢がなく目的がないほどに、まだ君は自由でいられる、ということを、指していたのかなあ、とか。

クロニクルの中島氏との対談の、無限の可能性があってもそのひとつを選ばないと先に進めない、っていうふうな話とかも。
先生はあの対談で逆に、都会っ子はなんだかんだ言って迷う自由があるじゃないか、って感じたのかな、とか…。


漫画も進化してる。
今回、お?!と思ったのはアキの表情。
今までは、いつもにこにこ良い子なヒロイン。私、先生の描く女の子は、まだ一抹の不安があったんだけど。
でも彼女はもう、ただにこにこしてる子じゃなくて。

最後のページ、駒場に怒鳴られたあとの八軒の、表情。
このさりげない絶妙さと言ったら!

うん、2巻はぜったい1巻よりもっと、面白い!


1年生の1年間だけを描く予定の銀匙だから、アキは結局、「でも、もうちょっと農業、ちゃんとやってみようかなーって」と、笑顔で言って、ハッピーエンドにするのかも。
でも私は、それでもアキは将来、家を出ていくんだろうな、と思う。

あ、八軒くん婿入り確定ラブコメエンドなら、それは無いけどね!(笑)