仕事と私事
荒川弘先生はさ、人気作家だから家庭の事情で仕事をセーブできたんじゃない。
人気作家だから、明確な意思でもって決断しないと、仕事をセーブなんかできないんだよ。
先生が単行本を一冊出したら、ざっくり4億の売上です。
400円×100万部。
100万部クラスだと、利益は半分を越えるという。
売上高4億の、粗利2億の、決算期がずれるかもしれない。
それを相手企業に認めさせる。
そういう話。
駆け出しのアル戦だって60か70万部。
銀匙はおそらく次の企画が動いているでしょう。人気作家は作品を描くだけでなく、メディア化などの様々な確認作業で更に多忙になるのはご存知のとおり。
作品をセーブする、ということは、あるいは、なにがしかの企画の順延をも伴っているのかもしれない。
それでも、私事を理由に、仕事をセーブします、と言う。
だから、強い意思が無いと、仕事のセーブはできない。
お金あるのに、とか、休んでいいのよ、とか、人気作家だからね、とか、それはそうだけど、そういうんじゃないんだよ。
セーブせざるをえない事情をこなしながら仕事を仕上げながら、二社と交渉し、要件の了解を取り付ける。
突然の休載ではなく、尻切れトンボでなく、かっちりペン入れトーン貼りを済ませた完成物を納めた上で、家庭の事情で仕事をセーブします、と言う。
破綻の手前で事態をコントロールする。
この難しさ。仕事してる人は分かると思う。