アルスラーン戦記アニメガイド
すっかり遅くなりましたが、『アルスラーン戦記アニメガイド』のオマケ、『荒川弘ラフ画集』の感想です!
もちろん、本体のアニメガイドもそれは素晴らしい。「ああこれをもっと大判で見たかったーっ!」って思う、多彩で美麗でてんこ盛りな内容です。
各話紹介からアイキャッチもエンドカードもぜんぶ入ってる。すてき。
でも、今日はね、荒川先生のラフ画集をですね。語りたいのですよ!!
表紙もスリーブにぴったり。
これは偶然じゃなくて、デザイナーさんがちゃんと計算してくれたから。ありがとうございます!!
この大人っぽいアルスラーン、ものごっつ素敵!!
それに初期デザインのダリューンもまた美形で!カッパ・ノベルズのイラストをフィーチャーしたダリューンで、ふわっとした髪をひとまとめにしてて…!
(なお、ご存知のとおり荒川弘先生はカッパ・ノベルズから読まれましたので、丹野忍氏のアル戦イラストがファースト・インプレッション)
あと、ラフ画なんだけど、初期ギーヴが、ショッキングですよ!(笑)
ヒゲ面のニヤケたイカサマ師。
ひゃー!
良かったねえギーヴ。今のイケメンに書き直してもらえて。
もちろん、荒川ファンとしてはこのギーヴがあの行動やこの台詞を?!と想像すると、それもまた楽しくて格好良くて身悶えちゃうんですがw
気になる方はぜひ買ってみて?
ちょっと高いけど、こういうのは増刷しないし、濃いファンしか買わないので古本に出るのもかなり経ってから。売り切れちゃうとなかなか手に入らないですよん~。(と定番のアオリ(笑))
あ、でも、初期デザインはこのくらいラクガキのもあるので、その辺は本当に「濃ゆ~いファン」でないと楽しめないかも?
アズライールかわいい!(笑)
さて、このような初期設定画は4ページほどで、メインはアニメのキャラクターデザインの原案です。
武器やアクセサリーも荒川先生のデザイン。キャラメインだと思っていたからシンドゥラの兵装なんかも荒川デザインと知ってびっくり!
ヒルディゴの剣に「まだデザインできてません」って注釈あって、こういうところも先生から出てたんだー!と。
荒川先生のイラストは、ちょこちょこって書き込まれた文字もかわいくて面白い。
漫画にはまだ登場してませんが、ラジェンドラという愉快なキャラがおりまして、その笑い顔の横に「子供っぽく笑う」と注釈が。
すんごい納得!
なるほど、こういう風に人物像を作っていくんだなあって思いました。
あと、アニメでカットされたチャースム城主クレマンス将軍のキャラデザも。
えっちょっと、無双では追加されたチャースム城戦ステージ、クレマンスにヒゲがねーじゃねーか!って突っ込まれてましたけど、荒川先生はちゃんと設定してたんじゃないですか!
てことは無双スタッフにはアニメキャラデだけ行ってて、荒川キャラデは流れてないってことですね。へえ~。
っていうか、先生ほんと、原作に登場するキャラ、もれなく!ぜんぶ!デザインなさってるんだわ…。
そりゃあ先生のおっさんストックは無限大だけど、にしても、すごいなー!
メルレインやイリーナのキャラデザも載っています。
これ、原作未読組には「ふうん?」なんだけども、既読組は「うおおおお!」なネタで、ここの反応の温度差で未読と既読がハッキリ分かって面白いw
私としては、ジョヴァンナがものすごーくイメージ通りでした!(笑)
それからそれから。
漫画作画用の設定画に感動!
すごい細かいの。ダリューンのマントの柄、ファランギースの笛の模様、武器はその構造まで説明されている。
荒川弘先生は数人のアシスタントと契約して、来れる人だけ来てもらうというスタイル。
メンバー固定じゃないので「いつもどおりに」という指示はできない。
だからこそ、こうした緻密な準備が必要なんだろうなあ。
それでね。
何度も舐めるように読んでいる第一話。うかつなことに今回初めて気づきましたよ!
11歳アルスラーンの服の模様に、鷹が描かれていただなんて!
左右に1羽ずつの鷹のデザイン。
これ、アズライールとスルーシをモチーフにしてるんですよね、きっと。
わ~素敵! 1話は多くの要素が含まれているけれど、こんな模様までメッセージ性を持っていたんですねえ。
って。はっきりクチバシまで描かれてるのってこのコマしかないじゃん!?
ほとんどはマントで隠れているんだもの。てかマントの華麗なトーンに目が行って、襟の模様までじっくり見れてなかったよ。
あーもー、これからはもっともっと、目を凝らして見なくっちゃ!
ギーヴのウードの弦が11本なのも、荒川先生デザイン。
上の弦だけ1本なんですねえ。へえ~へえ~。
(今、上の弦だけ単音、というネタで脳内にて妄想が展開されております。正気に戻るまで少々お待ちください)
・・・・・・。
えー。さてさて。←正気に戻った
こんな風に、あれもこれも、そうなんだ!知らなかった!って感動しまくりのラフ画集の中で。
私が一番、うわ……!ってドキドキしたのは。
エラムの矢の説明です。
気付かなかった。気づかなかったよ!
エラムの矢羽には、1本線が入っているのです!!
他の矢は、たとえばファランギースが矢をつくっているときの絵。羽は白でした。
シャプールの額を射抜いたギーヴの矢も。
戦場で飛び交う多くの矢にも。線は入っていません。
エラムの矢羽だけに、線が入っているのです。
エラム初登場の回。
そう、この矢はきっと、エラムが作ったもの。
「名工の作ではありませんが良い弓です」と言っていたけれども、もしかするとこの弓さえもエラムが作ったのかもしれません。
鳥を獲って羽根をむしって、そこから模様のある羽根だけを選り分けて、矢羽の材料にするんでしょうか。
彼だけそんなにこだわるのは、彼の生まれ、身分と関係があるのでしょうか。
いつからそんな風に手間をかけるようになったのでしょうか。それは自分のためでしょうかそれとも誰かのためでしょうか。
そしてそれを、アルスラーンに貸す……!
(今、このネタで脳内にて長編妄想が展開されております。正気に戻るまで少々お待ちください)
ええっと。
こほん。
ともかくね!私としてはね!この本はもう、すばらしいものだったんですよ!(力説!)(←まだ正気じゃありませんが通常運転ですので生ぬるくご覧ください)
しかも同時に4巻発売だったでしょ?
ナルサスがエラムにあげた鴨ってそれ、ナルサス自身が弓で獲ったんだよね?
そんでその後に奴隷解放と失敗があってエラムの両親の遺言があって宮廷書記官まで勤めたナルサスが地位も領土も領民もすべて手放し侍童たった一人をともなってバシュル山に引き込もって、その間にきっとこんなエピソードやあんなエピソードこういうエピソードがあったに違いないよね?!?!?と、妄想絵巻がどどーっと脳内に展開されまして一人で2ヶ月くらい楽しんだんですが、やっぱり私の本領はブログだろ!ってんで、ブログでご紹介。(←注:だから正気じゃないんです)
さて。
で、そんな素敵な妄想焚き付け材な「エラムの矢には一本線」なんですが、皆さん?お手元に4巻はございますか?
無い方は下の別ナマの記事をご覧ください。
4巻表紙。エラムのカラー。
はい。
矢羽に線は、ありませんね~!
エラムのカラーは3回目。昨年6月号の初カラーは矢筒が描かれていないので、今年の8月号を見てみましょう。
はい。
矢羽に線は、ありませんねー!
センセイ!
アシさんに指示出しときながら、ご自身ではそれ、忘れてんじゃないっスかー!(爆笑)
と。思ったんですが。
いいえ。
違います。
そう!このネタは、きっちりと荒川弘大先生を褒め称えるためにあるのです!!
8月号カラーは。
アルスラーンの剣が新しくなってる!の、そのカラー。(カラー絵)(記事)
カラー絵ではそれを持って3人で戦っている。
つまりこの時点でエラムが背負っている矢は、「倒した兵の矢筒から補充した矢」なのです。
自分の矢ではないのです!
荒川弘先生は、うっかりさんではなく、正しく矢羽を塗っていらっしゃったのです!!!!
もしかすると、ここから先、エラムの矢の一本線は無くなるのかもしれない。
4巻のエラムは少し未来の姿かもしれない。
他の人と違う矢羽にして、この得物は私が射たのだ、と誰かに主張しなくてもいい、そういう立場になったということかもしれない。
そういうことかも、しれないのです…!
ああ、荒川弘先生!
妄想ネタをありがとう!
すばらしい設定画を、どうもありがとうございました!!!