理想の息子
※ドラマのタイトルですが、マンガ「銀の匙 Silver Spoon」の話です。
理想の息子、ってドラマがあるじゃない?
あれ、上手いところ狙ったなあ~って思うの。
ジャニーズファンの子がね、自分よりずっと年下のアイドルのファンやってる理由を、恥ずかしそうにこう言うの。
「なんて言うか…息子で恋人なのよ」
あー、わかるわかる!
だから応援したい。だから憧れる。
そう。ジャニーズは同年代にとっては理想の男子、そして上の世代にとっては「理想の息子」
あのドラマは娘世代と母親世代の同時取り込みを狙ったんだろうね。
母と息子。だけど、どこかほんのり恋人。絶対的に架空の。決して生々しさの無い。
さて、ここからはマンガの話です。
だってマンガブログだもんw
ある編集者がね、「少年漫画の主人公は、中身は普通の、天才がいい」と言ったそうです。
男の子はやっぱり、スーパーマンに憧れる。
でも、ごく普通の常識を持ったキャラでないと、置いてきぼりになってしまう。
そんで、私は、なーるほど、それを女性視点から見ると「息子で恋人」となるわけだ、と思いました。
息子には、ごく普通の常識を持っていてほしい。私が理解できる存在でいてほしい。
バカやったり情けなかったり、そういう子供っぽさは魅力。
不器用に隠していても、素直さと優しさは必須。
だって理想の息子だから。
けれどスーパースター。
皆が認める才があり、仲間が慕い、年上も一目置き、誰から見てもカッコイイ!
頼れる人、憧れの人、私に勇気をくれる人。
一方的でもいいの。私は恋をしている。彼は理想の恋人。
普通で天才。
息子で恋人。
おいおい。
ちょっと待てよ。
普通に考えてみろよ、そんなのありえねーだろw
そうよ?だからいいのよ!だって二次元なんだもん♪
んでね。
私として、うーん、すると、銀の匙SilverSpoonの主人公、八軒勇吾のキャラがイマイチ弱いのは、もしかして彼が荒川弘先生の「理想の息子」だからなのかなー、なんて思いました。
荒川弘が以前から描いている酪農エッセイ「百姓貴族」にね、ご実家で息子さんにに絞りたての非加熱牛乳を味見させる場面があるの。
(息子さんと同時に、荒川センセの旦那さんが初登場!!ここで初めて荒川弘が女性と知る読者さんもまだきっといるでしょう。飲んでる牛乳吹いちゃうよ!知ってる貴方もじゃあ1巻最後の寮の風呂制限時間15分ネタは花も恥らう女子高生のいやんうふふな入浴シーンだったなんてそんな全然意識しなかったぜ荒川弘やっぱパネエ!と改めて驚いちゃう、そんなステキな百姓貴族第二巻は2月24日発売!必見です!! 宣伝終わり)
それで、八軒もまた、アキちゃんちで非加熱牛乳を飲んで、感動する場面があるのね。
銀の匙と百姓貴族のネタ被りは以前から言われているけど、それはちょっと違うと思う。自分の体験を使っているけれど、そこに伴う感情は荒川弘のものでなく、八軒勇吾のものだ。
百姓と銀匙は、私の中では明確に違う。
ところが、この牛乳シーンでは、「美味しくて驚く」という出来事と感情を、表現を誇張するだけで、全く同じに描いている。
それで、私は、八軒勇吾は荒川先生の息子さんの延長線上にあるんだなあ、って思いました。
息子だから、とっても常識人だし、悩みやなんかも等身大だ。
仲間との関係も良くなって、皆が彼を彼として認めている。
でも、八軒にはスター性が足りないんじゃ?
少年漫画の主人公たる要素。
男の子の憧れの象徴。
あーもーカッコイイなあステキだなあ!と、恋をさせる部分、「恋人」が足りないんじゃーなかろうか。「息子」が強すぎて。
そこがもしかしたら、銀の匙の、どこか少年漫画っぽくない雰囲気、になっているのかもしれない。
あっ、でもね!そこもまた大好きなの!
少年漫画っぽさ、って、少年漫画を読まない人には逆に抵抗だったりするじゃない?
でも銀の匙は、女子もすんなり読めるし、大人が読んでも気恥ずかしさが無い。間口の広い漫画。そこがいいのよーん♪
でも、それがね。
たぶん4巻になっちゃうと思う。つい先日完結した、夏の巻の最後のほう。
酪農の育てて食べる、という問いに、なお向き合う八軒が、こわもて美人の富士先生に、「悩みがいのある問題ですよ」と言い返すコマ。
このコマの八軒ね。
かっこよかった!
かっこよかったよ!!
隣のクラスのぜんぜん冴えない男の子が、実はちょっとすごい奴なんじゃん?って気づいた時みたいな、そんな、ときめき。
八軒は、ちょっとずつ、格好よくなっている。
彼はいつか、男の子の「憧れ」になるのかしら?
息子から恋人へ成長するのかしら?
そして、私が貼ってみた、息子で恋人、というレッテルは、どこまで通用し、どこから通用しないんだろう?
八軒の成長を楽しみに見つつ、これからも色々考えたいと思います♪
うふふーたのしいなっ!