タイトルロゴの話
『月刊MdN』という雑誌の2015年7月号に、草野剛氏の話が載ってまして。
え?だれそれ?
アニメアルスラーン戦記の、紋章デザインとかしてた「草野剛デザイン事務所」のリーダーの方です。
HPこちら
Tsuyoshi Kusano Design Co., Ltd.
内容は、タイトルロゴについて。
アニメ「図書館戦争LIBRARY WAR」と、アニメ「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」のタイトルを例に、なぜそのロゴを使ったか、というお話。
(ちなみに雑誌を見せてくれたの友人は鋼FAだよ!というだけでわざわざ持ってきて教えてくれました。大感謝!!)
これに小さく「FULLMETAL ALCHEMIST」と入ってるんですが、この、タイトルロゴに小さな活字を組み合わせる、というのを最初に始めたのが草野氏なのだそうです!
言われてみれば…。
って感じですよね。そういや昔のロゴはゴシックの太いのでどん、っていうイメージ。
で、最近のはこうして、ちょろちょろっと説明とかフリガナとかがついてるのが多い。
なぜか。
草野氏は仰います。
「テレビモニターの解像度が上がったから」
解像度が上がったから、細かいデザインができるようになった。今ようやく、モニタ用のデザインは紙に近づいてきたと思う、と。
ああ!そういや、そうだ。
そしてきっと同じように、微妙な色合いや光の表現も、描く技術が進んだ以上に、映す技術が進んだからだ。
アルスラーン戦記では、草野剛デザイン事務所のスタッフが描いた美しいアイキャッチがDVD特典になるほど評判でしたが(私も大好き!)、あの細かさもまた、モニターの解像度が今だから描けたこと、なんだなあ。
ルパン三世の作者、モンキーパンチ氏のインタビューで、1stシリーズのルパンのジャケットが青緑色だったのは、赤だとモニタで滲むからだと仰っていた。当時、緑がいちばん滲まなかったので、その色になった、と。
若い頃コスプレしてたという方から聞いた話で、1stガンダムのコスプレの頃、衣装を作ったあと布の縫い目の上に黒の細いテープを貼り付けたのだそう。セル画の主線が太かったから、そうすると現実の服もアニメっぽくなった、と。
こういうのも、描く技術とともに、映す技術によって、変遷してきているんだろうなあ。
ゲームの世界では技術の発展が、ドット絵から今のスーパーリアルへ移って行ったのすごくよく分かるけども、アニメも、それも「動き」じゃなくて、「文字」とか「色」とか、ごくごくシンプルなものさえも、技術の変化によって変わっていくっていうのが、そうだったんだー!と。
音楽が楽器とともに発展してきたように、アニメ表現もまた技術とともに発展してるんだなー!って、すごいためになりました。
さてさて。
こちらの「もえばす」というサイトが、アルスラーン戦記の角川アニメ版と、講談社マンガ版、そして講談社アニメ版のロゴの解説を載せています。
もえばす | マンガとアニメのデザイン アルスラーン戦記のロゴデザイン
先ほどのモニタの解像度の話のとおり、1991年の角川ロゴはくっきりしてて、2015年の講談社ロゴは繊細。
でも注目はそこではなく。
講談社マンガ版と、アニメ版の、ロゴは違う、というところです。
え?違う?
うん。違います。
昔の話になりますが、ハガレンファンさんはご存知でしょう? グッズやムックや派生商品が、原作・無印・FAのどれに属するか、ロゴで判断できたこと。
アニメの無印は原作ロゴを踏襲しつつ、「の」の字をゴシックっぽく直している。
シャンバラは無印と同じロゴ。つまり同じ作品。
FAは全く新しいロゴを作って、無印との違いを前面に出してた。
そしてミロスは再び原作ロゴに近い。つまりミロスはFAのスピンアウトではなく、同じ原作から派生した3作目の鋼。
というのが、ロゴから分かるんですね!
さてさて、そこでアルスラーン戦記です。
まず、マンガ版でオリジナルなロゴをつくって。
アニメ版で、再度デザインしてる。
良く似てるけど、ラの一画目を見ると違いは瞭然。
上の棒の「ひげ」が、アニメロゴにはありません。
上記でリンクした「もえばす」の記事は本当にしっかりしていて、それぞれのデザイン事務所のリンクと、デザインした方のお名前(マンガ版ロゴは久持正士氏、アニメ版はHIROKI HAYASHI氏)も載っている。
こういう姿勢こそがネット記事の基本。尊敬します!(めんどくさくてなかなかできないものなのよ~!)
無双はアニメロゴなのでアニメから展開されていると分かる。
アニメガイドは、商流はコミックスだけどロゴはアニメのだからアニメの本。
別マガ付録のCDは、声優が演じているけれどマンガのロゴでした。
コミックス5巻特典のDVDは、どっちでしょう。私はマンガのロゴだと思うんだけど、どうかな?
そんなところも楽しみです♪
さて。ついで、というのじゃないけども、アニメスタッフデータのサイトもご紹介します!
こういうの、すごい嬉しい。
感想は人それぞれだし、同じ作品でも時代を経ると変わる。
でも、データは変わらない。
制作委員会制でも企画やプロデューサーのお名前検索で参加企業がわかるし、作品をずっと追っていると、誰が、いつ、何を言ったか分かっているので、クレジット順とかからその人の立ち位置や作品への関わり度合いが読める。その作品がどのように生まれ、そうなったのは誰がきっかけだったのか。
あと、こんなにたくさんの方々が力を合わせて作品を作ってるって、ほんとすごいよね!
そうそう。これは最近知ったんだけど。こちらのP14・15も特集記事。
メーカー横断アニメガイド2014Winter アニメ業界最強広報誌
担当編集の土屋萌さんとアニメを企画した立石謙介さんがアル戦の宣伝してます。
当時手に入れられなかったのがWebで見れるってありがたいな~。アニメイト様に感謝!!!
こうやってたくさんの人がかかわって、ロゴひとつだってすごく工夫されているんだねえ。
面白いなあ。
以上、タイトルロゴ&裏方スタッフさまのお話しでした!